インフルエンザ 平成24年度版 (平成23年版平成22年版21年度版

 


今季のインフルエンザワクチン接種は10/1〜2/初旬で接種 (今季は2月2日で終了) 専用予診票ダウンロード


インフルエンザ検出状況  (厚労省の報道発表、 国立感染症情報センター、 愛知県衛生研究所、 名古屋市感染症情報センター名古屋市内の学級閉鎖情報)  

インフルエンザに罹った後の登校・登園の基準についてはここ

  今季(2012年秋〜2013年春)は、沖縄では夏季も流行していました。厚労省は、12月21日、インフルエンザの流行シーズンに入りの報道をしました。

 名古屋市医師会MLでは、9月初旬から中区、千種区で成人3例、高校生1名、中学生1名、A型の発生が報告されましたが、その後の発生は途切れていました。11月下旬より、南区、東区で成人のインフルエンザAの発生が伝わってきていますが、当院では12月中旬までは発生していませんでした

 今季、当院として第1例目のインフルエンザ患者さんは、12/22(土)に来院された千種区の高校2年(17歳、♀)で、迅速検査でA型が判明しました。ワクチンは未接種で、家族および友達・クラスにもインフルエンザ感染者はいないとの事で、通学中に感染した可能性もあり、家族と本人の希望でリレンザを投薬しました。第2例目12/25(火)に来院された守山区の高校2年(17歳、♂)も、迅速検査でA型が判明しました。ワクチンは未接種で、家族および友達・クラスにもインフルエンザ感染者はいませんでした。家族と本人の希望でリレンザを投薬しました。

 1/7(月)午前に、第3例目、猪○小4年男児(10歳)が発熱(38.0℃)、咳(−)、鼻汁(−)で来院されました。感冒症状はありませんでしたが、念のため迅速反応をしたところ、A(+)でした。ワクチンは当院で10月・11月に2回接種済みでした。1/5に日帰りでスキーに行ってきたと申されていましたので、感染は、スキー場もしくは途中のパーキングエリアが推定されますが、はっきりとはしません。家族の発症は現時点ではなく、リゼンザを投与しました。1/7(月)夕方、第4例目、猪○○第○保育園女児(5歳)で、1/5より熱発、他医にて迅速反応で陰性のためクラリシッド投薬さるも解熱しないため、当院へ来院。当院の迅速検査で、B(+)でした。発症から2日弱経過しているため、抗ウイルス剤の投与はあまり効果的ではないかもしれないと説明しましたが、希望によりタミフルを投与。ワクチンは他医にて1回のみ投与されていました。中学生の長兄が大晦日から正月にかけて熱発していたそうですが、市販薬で経過をみていたそうです。

 1/8(火)午前、第5例目、第4例目の次兄(香○小5年、11歳)も発熱で来院され、やはりB(+)でした。ワクチンは1回のみ他医で接種されていたそうで、リレンザを投与しました。一家3名がインフルエンザに罹ったと思われます。長兄は12/28まで、部活で中学校へ毎日行っていたとのことでしたが、その中学校でインフルエンザの噂はなかったそうです。1/8夕方、第6例目、猪○○小5年男児(11歳)、発熱で来院、A型(+)、今季はワクチン未接種で、リレンザ投与へ。

 1/9(水)午前、第7〜8例目5歳と3歳の姉妹で、父親が1/7に内科でA型インフルエンザと診断されていました。発熱・咳が主症状で来院され、タミフルを投与しました。いずれもワクチンは未接種でした。

 1/10(木)、午前、猪○○第○保育園の6歳男児(ワクチン2回済)、夕方、高○小1年の7歳男児(ワクチン2回済)、香○保育園1歳男児(ワクチン1回のみ)がそれぞれA型でした。家族と相談の上、タミフルを投与。いずれも家族にはインフルエンザ発症はないため、学校・保育園での感染が疑われます。高○小では、同じクラスですでに4名病気で休んでいるとの話でしたが、インフルエンザ発症によるかどうかは不明。

 1/11(金)には、8名(A型)、1/12(土)には、2名(A型)の陽性者あり、1月第2週は19名(A型17名、B型2名)と急増しています。

 いよいよ、インフルエンザの流行が始まった様です(1/8に愛知県にインフルエンザ注意報発令)。くれぐれも無理をしないで体調を整えて、手洗い、うがい、マスク着用を励行し不必要に人混みへは行かないようにしましょう。

 1月第3週(1/15〜1/19)は、インフルエンザは33名(A型32名、B型1名)と、さらに急増中(1/16には愛知県はインフルエンザ警報発令)。1月第4週(1/21〜1/26)は、インフルエンザは36名(A型33名、B型3名)、1月第5週〜2月第1週(1/28〜2/2)は、インフルエンザ55名(A型45名、B型10名、B型の多くは蓬来小の学童)と、ピーク状態と思われます。

 2月第2週(2/4〜2/9)はインフルエンザ49例(A型35例、B型14例)、2月第3週(2/12〜2/16)はインフルエンザは13例(A型6例、B型6例、A&B型1例)、2月第4週(2/18〜2/23)はインフルエンザ21例(A型10例、B型11例)、2月第5週〜3月第1週(2/25〜3/2)は、インフルエンザ23例(A型4例、B型19例)、3月第2週(3/4〜3/9)はインフルエンザ17例(A他3例、B型14例)、3月第3週(3/11〜3/17)は28例(A型1例、B型26例、A+B同時感染1例)、3月第4週(3/18〜3/23)は20例(A型1例、B型19例)とやや減少に転じました。

  (名古屋市内の学級閉鎖情報
 


 インフルエンザワクチンの入荷状況 (今季は2月2日で終了)

 ワクチンは例年以上に確保出来る予定で、2月2日まで接種可能で、ワクチンの在庫確認の事前連絡はなしOKです。10/1以降、当院のコンピュータ予約でワクチン枠のインフルエンザの項を選択して日時を予約して、予め専用予診票に記入して、予約時間の10分前には来訪して予防接種専用待合室でお待ち下さい。


 当院は開業以来、基礎疾患のない健康な子どもさんへのインフルエンザワクチン接種はそれほど積極的には勧めてはいませんでした(理由は、その年に流行するインフルエンザ株の予想が以前は外れることが多かったためと、後述のように日本の接種量が少なすぎて充分な抗体が産生されにくい状況にあったため) しかし、その後、インフルエンザの流行株の予測精度も上昇し、2004年夏には米国小児科学会のインフルエンザワクチン接種勧告の改訂(健康な小児にもインフルエンザワクチンの接種を勧める内容)がされたため、平成17年度からは、当院も健康な小児と成人にもインフルエンザワクチン接種を行っています。(2012年度の米国小児科学会の乳幼児に対するインフルエンザワクチンに対する勧告ここ)。

 インフルエンザワクチンの接種は10月1日から、コンピュータ予約で2日前から予約可能です。今年は、昨年の大災害による停電のための生産量低下はまぬがれたため、ワクチンは充分量あるそうですので、事前予約は不要で、コンピュータ予約で通常通り予約して下さい専用予診票ダウンロード

 2011年秋から、インフルエンザワクチンの接種量が欧米と同量(後述)に引き上げられました。今までは0歳児鶏卵アレルギーが不明なこと、日本の接種量は0.1ml/回と少なすぎて効果が期待できないため、当院では接種していませんでしたが、2011年秋からは欧米並に0.25ml/回と増量されたため、鶏卵アレルギーの無い6ヶ月以降の0歳児にも接種します。ただし、鶏卵(特に卵白)がまだ未摂取でアレルギーの有無が不明な場合、家族歴で卵アレルギーの方がみえる場合などは、0歳児のインフルエンザワクチンは今年は見送って、ご両親や上のお子さんへの接種をお勧めします。

 今年は、 A/カルフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09株、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)株、B/ウイスコンシン/1/2010株の3株で製造されていて、これ以外の型が流行した時は効果はありません。ただ、最近はシベリアからの渡り鳥の糞便を分析して流行する型を予想していますので、ハズレは少なくなってきています。

 
 日本のインフルエンザワクチンは2011年秋から、6ヶ月〜3歳未満は0.25ml/回、3歳以上は0.5ml/回と欧米並みに増量され、6ヶ月〜13歳未満は2回接種(免疫効果からは4週間の間隔がベター以前の1〜4週間隔3〜4週間隔に修正)、13歳以上は1回ないし2回接種(但し喘息や心臓病などの基礎疾患のある方、免疫状態が落ちている方、場合によっては受験生は2回接種)。
 
 なお、当院の予防接種の予約枠が限られるため、成人へのインフルエンザワクチン接種は原則として子供さんと一緒に接種の場合のみとさせて頂いています。名古屋市の老人用補助券(1,000円)も当院でも利用可能です。健保連愛知連合会のワクチン接種補助事業の補助券は、今年も「NPOあいち」経由で使用できることになりましたので、当院でも差額を支払っての接種が可能です。

 インフルエンザワクチンは、当院にかかって見える方を優先しますが、他院で接種して貰えなかった方も接種致します。 ただし、治療内容の判る資料お薬手帳・検査データなど)を必ず持参して下さい。もし、治療経過や投薬内容などがはっきりしない時や母子健康手帳をご持参されなかった時は、当院での予防接種をお断りします。


 1.インフルエンザワクチンは、現在の商品は鶏卵が製造過程で使用されているため、鶏卵アレルギーのある方は要注意です。インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーショックの発生例が報告されているため、鶏卵アレルギーのある方のインフルエンザワクチンの接種は、万一の事を危惧して当院では申し訳ありませんが、原則としてしていません緊急事態に対応可能な大きな病院で接種して下さい。 但し、卵白アレルギーのあった子どもさんでも、現在、摂取可能になった方、採血で卵白IgG(RAST)が3+以下の方は十分な問診の上、接種後30分以上待合室で様子観察することを条件に、接種します。

 2.大阪市大(小児科・公衆衛生)や日本小児科学会の調査で、インフルエンザワクチンの小児への有効率は20〜30%程度(成人は50%前後)です。このため、インフルエンザワクチン接種をしても罹ることはあります(朝日新聞のアエラ2009/10/26)の記事を参照)。日本の注射用製剤は、あくまで重症化防止用であり、感染予防には残念ながらあまり効果はありません
 
 3.欧米では、基礎疾患(気管支喘息など)のある子どもさんに、従来から積極的に接種を勧めています気管支喘息、先天奇形などで感染症に罹りやすい患者さんには、当院でも積極的にインフルエンザワクチンを接種勧めています。2012年度の米国小児科学会の乳幼児に対するインフルエンザワクチンに対する勧告ここ
 
 4.妊娠中にインフルエンザに罹患すると重症化しやすいため、妊婦・授乳中の褥婦さんにも欧米では積極的に接種を勧めています 妊娠中・分娩後に新型インフルエンザで重症化した例 NEJM (2009/12/23)米国産婦人科学会は2012年には全妊婦への接種を勧告(動画付))当院では念のため器官形成期(臨界期:妊娠初期12週頃まで)を避けて、妊娠12週以降で接種されることを勧めています。しかし、日産婦学会のQ&Aでは妊娠初期も接種可能・チロメサール入りも問題なしとしていますので、12週前でも接種致します。

 より安全性の高いロメサールフリー(予めディスポ注射器に装填済)のインフルエンザワクチン特別に製品化されています。生産・流通量は5%と少ないですが、例年、当院では50本は確保できていて、現在、在庫は有ります。 当院で妊婦健診を受けている方は優先的に接種し、妊婦健診時に接種可能です。但し、無くなればチロメサール入りの通常品での接種となりますなお、他院で妊婦健診中の方は、現在使用中の母子健康手帳(必須)ご持参下さい。


 インフルエンザワクチンは各医院・病院の自由料金です。当院は丁寧なる説明、看護婦ではなく医師自らの注射、予防接種ガイドラインに準じて接種後15分以上専用待合室(絵本・パソコン・TV完備)で様子観察させて頂いているため、他院よりやや高めの値段設定かもしれませんが、当院の予防接種に対するポリシーもあって、安売りで患者さんを集めることにはしたくありませんので、ご容赦下さい。

        当院のインフルエンザワクチン料金  (1回当り)   接種費用(税込)
 6ヶ月〜3歳未満 (0.25ml)  (2回必要)   2,800円/回
 3歳〜13歳未満  (0.5ml)  (2回必要)     3,300円/回
 13歳以上〜    (0.5ml)  (1回)      (2回目は3,300円)   3,500円/回
 妊婦        (0.5ml)  (チロメサールフリーシリンジ充填製剤)  (1回)   3,600円/回
※ 健保組合の補助券利用時には、差額で接種可能 ※

  

  厚労省HPに、インフルエンザの解説 が掲載されています 


★ 朝日新聞アエラ2009/10/26)の記事に関連して、副院長日産婦医会報(H21年11月号) に寄稿した「コーヒーブレイク」を ご笑覧下さい ★ 


             平成24年 9月12日 初版作成
            9/13、9/21、10/7、11/29、12/23、1/8、1/9、1/10、1/22、1/27、2/2、2/10
            2/17、2/24、3/3、3/18、3/24   一部改定

            
                

 
               (医) 若葉台クリニック